不渡り(ふわたり)

約束手形の振出人、(約束手形を発行した者)は、満期日に約束手形の額面金額を支払います。約束手形の振出人が、満期日に約束手形に記載されている支払金額を支払うことができなかった場合は、「不渡り」となります。

仮に、約束手形が「不渡り」になったとしても、所持人は満期日から3年の間は、約束手形の振出人に、支払を請求できます。3年間を過ぎたら、支払請求権を失い約束手形は消滅(単なる紙)します。

約束手形が「不渡り」になったら、振出人、裏書人に対しての財産調査を行い、財産がある場合は、その財産を保全(約束手形の支払をおこなう為の財産として確保)するために「仮差押手続き」をする必要があります。

「仮差押手続き」後は、債務名義を取得するために手形訴訟を提起する必要があります。

6ヶ月以内に2度の「不渡り」をおこなうと、約束手形の振出人は銀行取引停止処分を受け、事実上の倒産となります。

不渡りは主に次のような3つの種類があり、通常不渡りといえば1号不渡りのことをいいます。「1号」「2号」は銀行が作成する不渡届の種別のことで、「0号」は不渡届を作成しないことからこの呼び名があります。

【0(ゼロ)号不渡り】
呈示が適切でない手形の不渡りで、
【1】手形の形式不備(要件不備)として手形金額、振出人(署名、押印)満期日、支払地など手形の要件が欠けている、形式的に問題のある手形を呈示した場合です。

その他【2】呈示期間経過後、【3】期日未到来、【4】裏書不備、【4】依頼返却、【5】除権判決、【6】支払い禁止の仮処分、なども0号不渡りになります。

以上は、支払う義務の無い手形ですから、手形交換所には「不渡届」は提出されません。 振出人(又は引受人)の信用には関係がないもので、何度不渡りになっても、不渡届が出されませんので、銀行取引停止処分もありません。

※ 0号不渡りの「依頼返却」(依頼引きとも呼ばれます)は、本来は誤って 手形交換所に持ち込まれた手形を返してもらうために利用されていましたが、 実際には資金不足で1号不渡りを出すのを回避する目的のために 「依頼返却」が利用されることがあります。

【1号不渡り】
振出人(又は引受人)の信用に関係する不渡りで、
【1】資金不足=当座預金の決済資金が不足している場合。
【2】取引なし=当座取引が解約されていて、手形が呈示された時に決済口座がない場合。
1号不渡りは、不渡処分がなされます。